忘れた
戸惑うあたしを見て、舞花はため息をついた。


「よく男子の先輩が覗きに来たり、クラスの男どもが奈緒のことをジロジロ見てるの、気づかなかった?」


思い返すと、よく人の視線を感じることはあった。


だけどあたしは、1人でいることを哀れまれているんだと思って気にしないようにしてきたんだ。


それを舞花に伝えると、舞花はまた、ため息をついた。


「大体、何で今まで1人でいたの?」


「それは…」


あたしは口ごもる。


「あたし、中学の頃虐められてて、その…最初から1人でいたら、虐められないような気がして…」


すると舞花は、目を潤ませてあたしの手を掴んだ。


「奈緒…辛かったんだね。でも大丈夫。これからは1人じゃないよ」

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