忘れた
「あたしがいる」


舞花は力強く、にっこり笑ってそう言った。


「後で里美(さとみ)たちにも紹介するね」


「ありがとうっ」


あたしは自然と笑顔になった。


その時、前のドアから男子の集団が笑いながら入って来た。


そのうちの何人かが、舞花に向かってきた。


「楠、おはよー。って、あれ? お前東さんと仲良いの?」


向かい合うあたしたちを見て、男子たちは不思議そうだ。


「そっ。今、親友になったところ。ねー、奈緒」


あたしはコクリと頷く。


「おお? まじかよッ、俺も奈緒って呼んでいい?」


「じゃあ俺も俺も」


なんだか男子がどんどん群がって来たんですけど。


ワッと盛り上がる男子たちに、あたしはただただ驚いていた。


嫌われてたわけじゃ、ないんだ。


勇介、あたし、友達が出来たよ。

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