忘れた
月明かりと遠くの街頭のわずかな光が、男の姿を照らしていた。


男はフードを深くかぶり、大きなマスクで顔を隠していた。


このままだと本当に…


押しのけても押しのけても、男から逃れることはできなかった。


ふと、ある考えが頭に浮かんだ。


もういっそのこと…


17年生きてきて、こんなに男の人と接近したのは初めてだった。


思い返せば、今まで愛だとか恋だとか、そんな浮かれたことは一切考えずに生活してきた。


我ながら、何ともつまらない人生だったと思う。


このまま一生彼氏ができなかったら?


いや、だからってそれはないッ


ダメダメ


何考えてるんだ、あたし。しっかりしろッ

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