忘れた
「何? 頼みって」


「俺、彼女出来たんだ」


はあ? 彼女?


「あ、あんたに…? 嘘だあ」


信じられない。このチビでガキでわがままな健斗に、彼女?


「失礼だなー。嘘じゃねえよ」


満面の笑みで胸を張る健斗。


「そんでさ、明日、母さんたち泊まりで仕事じゃん?

俺、彼女家に呼ぼうと思うんだ」


「で?」


「で? じゃなくて。そこは分かってよ」


何を? と思ったけど、すぐにピンと来た。なるほど、あたしが部屋にいると思うと、彼女とイチャイチャ出来ないってわけだ。


「姉ちゃん、最近友達出来たって言ってたじゃん? だから泊まりにでも行って来なよ。仲良くなるチャンスだよ?」


最近、健斗の態度がいい方に変わってきたのは事実だし、健斗の為にもあたしは消えてやるとするか。


明日、学校で聞いてみよう。

< 69 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop