忘れた
「汚いなあ」


つい、口が滑ってしまった。ハッとして口を手でおさえたが、時すでに遅し。


ギロリと勇介に睨まれた。


「文句言うなって言ったのに」


「ご、ごめんごめん」


慌てて謝るあたし。すると勇介はフッと表情をやわらげた。


「そのソファに座っていいよ」


あたしは従った。思ったよりふかふかしてる。


勇介が出してくれたお茶を飲みながら、あたしは気になっていたことを聞いてみた。


「勇介、今日は仕事、どうして早く終わったの?」


「バカヤロウ、奈緒が急に来るって言うから早退したんだ」


勇介、プリプリ怒ってる。なんか可愛い。


「あ、なに笑ってんだ。怒ってんだぞ」


「本気で怒ってないもん」


笑いの止まらないあたしに、勇介はやれやれとため息をついた。


「夜飯どうする? つっても、まだ5時だしな…」

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