忘れた
「俺、奈緒が好きだ」


奈緒が再びこっちを見た。


「ずっと前から、気になってた。いつも公園にいる奈緒のことが。

知り合ってから、奈緒の笑顔に心底惚れた。奈緒を知るたびに、好きになっていった」


奈緒は、大きな目をさらに大きく見開いた。


「奈緒の気持ちが知りたい」


俺が黙ると、奈緒はおもむろに口を開いた。


「あたし、今まで勇介のこと、友達だと思ってた。

ううん、ただの友達じゃなくて、親友。何でも話せるし、ありのままでいられるの」


親友か…


俺は振られるんだと思った。


「キスされてから気づくなんて、あたし本当にバカ」


え? どういうことだろう。


「あたし、いつの間にか、勇介のこと好きになってたんだ。今でもドキドキが止まらないよ。

胸を触られたとき、あの男のことをチラッと思い出しちゃったんだ。

嫌とか言ってごめんね」

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