忘れた
「そうなんだけどさ…まだ怖くて」


あたしの言葉に、みんな黙ってしまった。


「ごめんね、あたしたち無神経で」


「いいの。気にしないで」


あたしは何でもないという風に微笑んでみせた。


「勇介は、あたしがあのことを忘れられるまで待つって言ってくれてる」


「いい彼氏さんだね」


と言う麗に、みんなも微笑んだ。





3週間後。


今日は体育祭前日。1限目の体育と6限目のLHRで、みっちり練習が出来る。


あたしにとっては憂鬱でしかなかった。


1限目の体育を終えて、あたしはへとへとになりながら、麗と校舎に向かっていた。


「すごいよ麗は。1回も引っかからないんだもん」


「まあ、現役バドミントン部ですから」


「あたしもバレー部だったのになあ」


「えッ! お前、バレー部なの?」


いきなり会話に入ってきたのは、早水だ。

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