好きな人といたいだけ
1章 デート
初デートなのに雨。
松原君との初デートには遊園地って決めてたのになぁ……
仕方なくカラオケボックスに入ってみる。
けど会話も続かず2人で沈黙。
しょーこの緊張もMAX。

「とりあえず歌おっか」
「あぁ好きに入れなよ?俺歌苦手だから聞いとくわ」
「えっ恥ずかしいよ……」
松原君は話しかければ意外と話してくれるみたい。

しばらく歌って松原君を見ると目があった。

ドキッ

ひゃああぁカッコイイ……
皆松原君の事全然って言うけどしょーこはもろなんです。
しばらく曲を探していたら緊張も溶けていたらしく気を抜いた。
その為、松原君が近寄っていることに気づいていなかった。
気づいた時にはもう横にいて……
「えっあっ……びっくりした……」
「気づかなかったとか笑うわ」
「いやだって……」
つい松原君の方を向いてしまった。
綺麗な瞳に吸い寄せられた。
目が離せないまま固まっていると不意に唇に暖かいものがふわりと触れた。
そしてそのまま視界が傾いてしょーこは押し倒された。
「え?」
「好き……」
「今なんて……」
「好きだから」
「松原君……」
えっえっ今松原君に好きって!?
「本気……?」
松原君は照れながらも笑っていて。
しょーこも思わず笑顔になった。
すると松原君はもう一度しょーこにキスをした。しょーこもそのキスに答える。

「しょーこ…」
「えっ!?」

松原君の突拍子もない一言に
しょーこは思わず顔をあげた。
だって今しょーこって……

「……やっぱなんでもない」
松原君はしょーこを起こしあげ、向かいになるように座らせた。
不覚にもまた松原君の澄んだ瞳に捉えられる。
そのままふんわり包まれた。
「しょーこ?」
「……何?」
「緊張してんのか?」
「えっあっ」
「鼓動早すぎだから」
「/////」
バレてる……
不意にキスされて不意に呼ばれて不意に包まれたしょーこは止まらない鼓動を隠しきれない。
「だって松原君が……」
「郁弥」
「へ?」
「俺郁弥だから」
「郁弥……」
「……ん?」
松原君は大人っぽく静かに笑ってみせた。
松原君の笑顔に嬉しくなる。
でも続きの言葉が出てこない。
松原君の体温が伝わってきて火照ってる今、
どうしたらいいのかわからない。
恥ずかしくなって少し身をよじる。
「そういうことだから」
「あのさふみ……」
プルルルルルプルルルルル
激しいコール音にしょーこの声はかき消された。
松原君もパット体を離す。
「えっ10分前?」
「みたいだな……出るか」
松原君は何もなかったかのように立ち上がると電話に出た。


カラオケを後にして二人並んで道を歩く。
なんとなく変な空気が流れつつ…
さっきのこと気にしてないのかな?
ってかそういうことだからって……言い方不器用やなぁ……
「ーこしょーこ?」
「へ!あっごめん…何?」
「海近いし…行こーぜ」
「行く行く♪」
松原君は可愛く笑ってしょーこの手を握った。

「わぁ♪いいね、夜の海」
「あぁ。ここ座れよ」
「うん。ありがと。」
松原君の横に不器用に腰をおろす。
だめだ…心臓バックバクです。
「郁弥…今日楽しかった♪来てよかった」
「俺も…こっち向けよ」
「ん?」
座ってても背が高い郁弥に唇を覆われて…
落ちてくるキスに対応しながらも次々に塞がれて呼吸が乱れる。
「ふみっ…やめっ…やめっ…」
「喋んな」
このまま死ぬ?郁弥に止められるの?
目を閉じてされるがまま…
するとゆっくりとキスは止まった。
しょーこはやっと深呼吸をする。
「大丈夫?」
「うん…ちょとびっくりした」
照れ隠しに笑いながらうんうんと頷く。
「ごめん…でもしょーこもしょーこやで」
「え?待って待ってうち何も…」
「してる時に喋るってアカンから」
「へ?」
「しかもやめようかなって思った隙に…」
「えっ」
「止まんないから」
「/////」
恥ずかしくて何も言えない…
照れくさいように言う郁弥も不器用な人なんだなぁって思う。
夜の海の暗闇は二人の赤く染まった頬を、しなやかに包んだ。
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