サクマドロップス
そして嬉しいことに彼も
カラン…
サクマドロップスの愛好家。
…だと思う。
彼は3年間毎日サクマドロップスを
食べているだから。
車内に響くサクマドロップスが転がる音は、
少しだけ彼を見てもいいチャンス。
それが私に許された至福の一時。
だけどね、
その時必ず彼と目が合うの。
その瞬間、甘いドロップスがからだじゅうを麻痺させて、
私のからだを熱で満たすの。
だから恥ずかしくて目を一回だけそらす。
……そして
もう一度彼を見る…。
そうすると必ず彼は私をとらえるから、
嬉しくてついつい微笑んでしまう。
だけどその余韻に浸れるのも、
2駅目を過ぎたら音をたてて崩れ落ちていく。