サクマドロップス



そして嬉しいことに彼も



カラン…



サクマドロップスの愛好家。


…だと思う。



彼は3年間毎日サクマドロップスを


食べているだから。


車内に響くサクマドロップスが転がる音は、
少しだけ彼を見てもいいチャンス。


それが私に許された至福の一時。



だけどね、
その時必ず彼と目が合うの。

その瞬間、甘いドロップスがからだじゅうを麻痺させて、

私のからだを熱で満たすの。

だから恥ずかしくて目を一回だけそらす。



……そして



もう一度彼を見る…。



そうすると必ず彼は私をとらえるから、


嬉しくてついつい微笑んでしまう。





だけどその余韻に浸れるのも、


2駅目を過ぎたら音をたてて崩れ落ちていく。











< 17 / 38 >

この作品をシェア

pagetop