サクマドロップス
どうしよう?
とりあえず、
「……あっ…あの…。」
声を掛けてみた。
私からしたらとても積極的で、
その恥ずかしさもあって噛み噛みになってしまう。
だけど、
彼は…
「はい…帽子…落としたよ?」
「……あ、ありがとう…ございます。」
爽やかで、優しかった。
帽子一個分の距離にいる彼。
あまりにも近くて顔をあげることもままならない。
それに…
いつも離れたところに居るから気が付かなかったけど、
彼はとても背が高かった。
すると、
「い、いつも朝…会ってるよね。」
彼は殺し文句を言ってきた。
私のことを覚えていてくれた…
それだけで嬉しくて嬉しくて…
「…はいっ…!」
元気よく返事を返した。