サヨナラなんて言わせない
「････ん？」

駅前の商店街を歩いている時にふと一軒の洋食屋が目に入った。
なぜだか引き寄せられるように足がそちらへと向かう。
店の前に置かれた看板に書かれていた『当店おすすめ！オムライス』の文字。

ドクン････

････何だ？
なんだか胸がざわざわする。
オムライスという文字を見ただけなのに、何故？！

････やはり考えても何もわからない。
だが、彼女に会った時以来初めて心が揺さぶられた瞬間であることに違いはない。
きっと何か大事な意味があるのではないか。

「今夜はオムライスにしてみるか･･･」

可能性のあることは何でもやってみよう。
あの家に置いてもらえるのも明日で折り返しなのだ。
残された時間は極少ない。
どんなことでもいいからきっかけが欲しい。


俺は今夜のメニューを考えながらスーパーへと向かった。
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