サヨナラなんて言わせない
「謝る相手が違うでしょ?あんたが向き合わないといけないのは私じゃない。自分が何をすべきかわかってるわよね?」

「わかってる」

「じゃあ今日にでもちゃんと話をしてきなさい!どんなに罵られようとも全て受け入れるしかないのよ」

「わかってる。でも今すぐは無理なんだ」

「・・・・どういうこと?」

俺は立ち上がると窓の外の景色に目をやった。
雲一つない快晴が今の俺には眩しすぎる。

「涼子・・・おそらく今日明日中に寝込むと思うんだ」

「えっ?」

怪訝そうな声を上げたカナの方に振り向くと、いつの間にか彼も立ち上がっていた。

「今朝顔色が悪かったんだ。俺の知ってる彼女だと今のままじゃ間違いなく熱を出して寝込む。ましてや今は俺のせいでおそらく睡眠も食事もろくにとってないはずなんだ。だから余計に反動が出ると思う。本当なら俺が出ていくべきなんだろう。・・・でも、具合が悪くなるのがわかってて放っておくことなんてできない」

「それって本当なの?」

「あぁ。絶対の自信がある。俺は彼女をずっと見てきたんだ。調子が良くないときはすぐにわかる。過去に同じようなパターンで何度も看病してるんだ」
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