サヨナラなんて言わせない
「約束の期限は明日でしょう?もしかしたら・・・・今日は帰ってこないかもしれないから」

「・・・え?」

帰ってこないって一体何を・・・
まさか、あの男のところに泊まるっていうのか?

ドクン・・・

一気に胸がざわつき始める。
あの男と涼子が一緒にいると思うだけで気が狂いそうになる。

だが今は俺の気持ちなんてどうでもいい。
彼女の体が何よりも大事なのだ。
明らかに熱があるとわかっている状況で外出するなんて無茶だ。
しかも彼女の場合これからどんどん悪化していくのだから。

絶対に外出なんてさせられない。

だがそんなことお構いなしで涼子は一人で話を進めていく。
まるで俺にさよならを言っているかのように。

「だからもしその時は最後会えないと思って。一応ここに最低限必要そうなお金入れてあるから。返さなくていいよ」

「涼子さん」

「鍵は外から入れといて。あと食事の準備とかももうしなくていいから・・・」

「涼子さんっ!!」
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