サヨナラなんて言わせない
感じるぬくもり
気が付けば朝は晴れていた空に雲がかかり、
いつ雨が降ってもおかしくないような空模様へと変わっていた。
窓の外に見える景色はまるで自分の心を映し出しているようだった。
涼子がマンションを飛び出してから3時間。
昼を過ぎたが宣言通り彼女が帰ってくる気配は微塵もなかった。
彼女は今どこで何をしているのか。
考えたくはないがあの男と一緒にいる可能性が高いのだろう。
・・・・今はそれならそれで構わない。
彼女がきちんと休めているのならばそれで。
だが彼女の性格を考えると、辛い体に鞭打って無理をしているんじゃないか、
その思いがどうしても頭から離れてくれない。
あの男がきちんとそれに気付いているのか。
彼女の本質をきちんと見抜けているのか。
そんなことが頭の中を延々と駆け巡っていた。