サヨナラなんて言わせない
その日、俺は多少強引に彼女から話を聞くことにした。
このままでは本当に何もわからないまま期限が来てしまう。
それだけは何としても避けたかった。

予想通り彼女は嫌そうな反応を見せたが、それでも俺の我が儘に付き合ってくれた。
やはり彼女は優しい人だ。

俺と彼女は大学時代の先輩後輩だったこと。
自分が建築デザイナーを目指していたこと。
そして彼女がインテリア関連の会社に勤めていること。

ドクン・・・・

また、だ。
胸がざわざわする。
何かを思い出せと脳が命令しているのに、靄がかかったように思い出せない。
なんだかとても大切なことを彼女は教えてくれたような気がするのに。
もどかしい。
じれったい。


「涼子さんから見た僕ってどんな人間でしたか?」


気が付けば焦る気持ちに押されるようにそんな事を聞いていた。
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