サヨナラなんて言わせない
譲れない想い
~~♪~~♪~~
先程鳴っていたスマホが再び音を奏でる。
当の持ち主は全く気付く気配がない。
せっかくぐっすり寝ているのに起きてしまうんじゃないかと気が気じゃない。
マナーモードにしたいが勝手に触るわけにもいかない。
・・・・それ以前にまず動くことができない。
____あれから。
涼子が俺にしがみつくようにして共に眠ってから、結局彼女は朝まで離れることはなかった。
朝になりさすがにこのままでは何の世話もできないと、後ろ髪を引かれる思いで彼女の体をゆっくり引き剥がしたが、落ち着いた様子で眠っていてホッとした。
それから何度か目を覚ますこともあったがまだ8度以上の熱があり、
変わらず本人の意識ははっきりしていない様子だった。
俺が世話をしているということも理解しているかわからない。
そして夜になると再び彼女がしがみついてきた。
愛する女性に傍にいてほしいと求められて突き放せるはずもない。
前日のようにそっと添い寝をすると、すぐに胸の中にすっぽりおさまって安心したように寝息を立て始めた。
愛する人の体温を感じられることがこんなに幸せなんて。
俺は眠れずに一晩中彼女の寝顔を見ていた。
そうして今に至る。