サヨナラなんて言わせない
それから、俺は徹底的に彼女の看病に徹した。

彼女が元気になればいよいよ運命の日がやって来る。
それは怖くもあった。
もしかしたら決定的な溝を生み出してしまう可能性だってある。

だとしても、新しい一歩を踏み出すには決して避けては通れない。
それに俺は彼女との未来を信じる。
自分勝手だと誰もが思うだろう。
それでも・・・・・信じると決めたのだ。


迷いのなくなった俺の変化に涼子も気付いているようだった。
それもそうだろう。これまでどこかおどおどしていたはずの俺が、積極的に自分と関わろうとしてくるのだから、戸惑うのも当然だ。
それでも彼女は俺を拒絶したりはしなかった。


『話を聞いて欲しい』


あの言葉で彼女の中でも何か変化が生まれているようだった。
彼女なりの覚悟が芽生えているのではないか。
きっと俺が話すことが軽いことなんかじゃないとわかっているのだろう。
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