サヨナラなんて言わせない
夢が醒めるとき


深夜、彼女の様子を確認するためそっと部屋へと入る。


物音一つしない静かな部屋の中、スースーと小さな寝息を立てて彼女は眠っていた。暗くて顔色はよく見えないが、呼吸も落ち着いてもうほとんど熱も下がっているように見える。
そっと額に触れる。
・・・・やはり大丈夫そうだ。

きっと今日は何としても出勤するに違いない。
数日無理さえしなければぶり返すこともないだろう。

俺のせいで彼女にこんな苦しい思いをさせて申し訳ないと思う一方で、
このことがきっかけで彼女との距離がグッと縮まったことに感謝もしていた。
今回のことがなければ、なんとか話をしたとしてもかなり険悪な雰囲気の中、
しかも一方的にしかできなかっただろうから。


運命の日が迫っている。

それを過ぎた俺たちの関係はどうなっているのか。


ふと先程の男の顔が脳裏をよぎる。
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