サヨナラなんて言わせない
ピンポーン・・・
その音が部屋の中にもインターホンが鳴り響いたことを教えてくれる。
・・・・・・・
何の反応も返ってこない。
・・・・・当然だが予想通りだ。
俺はもう一度インターホンを鳴らした。
「涼子、俺だ。昨日は本当に申し訳なかった。どうか一度話を聞いてくれないか。・・・・お願いだ」
こちらからの声は相手には聞こえている。
俺は彼女が室内にいると信じて声をかけた。
だが、待てど暮らせど何の反応も返ってこなかった。
もしかしたら外出している可能性だって考えられる。
・・・・けれども彼女は中にいる気がした。
直感だがそう思った。
・・・きっと一晩中泣きはらしたに違いない。
ズキン・・・・
彼女の泣き顔が脳裏をよぎって胸が締め付けられる。
はじめからそんなに簡単に会ってもらえるなんて思っていない。
おそらく彼女はもう二度と俺に会うつもりはないのだろう。
・・・・・それでも。
俺は諦めるわけにはいかない。