サヨナラなんて言わせない
それでも君を失えない
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「社長っ、おはようございます!いよいよ今日から復活ですね!
・・・・ってどうしたんですか?!その顔・・・」
月曜の朝、俺が先に出勤していることに気付いた岡田が意気揚々と事務所の中へと駆け込んできた。だが、喜びに満ちていた顔がすぐに困惑のものへと変わってしまう。
「・・・ちょっとな。根詰めて仕事してたら眠れなくてな」
「・・・そうなんですか?せっかく二週間も休んでた人とは思えないくらい顔色悪いですよ?」
「・・・・」
自分でもひどい顔をしてると自覚している。
涼子に全てを話す予定だった前の日からもう丸4日、ほとんどまともに眠れていない。
仕事に復帰する今、このままではいけないとわかっているが、いざ横になって目を閉じると涼子の泣き顔が浮かんでくる。
俺を見つめるあの瞳が頭から離れない。
涼子に再会するまでのこの3年、ずっと見続けてきた悪夢がまた俺を襲うのだ。
「あ、カナさん、おはようございます!」
岡田の声に顔を上げると、事務所に入ってきたカナと目が合った。
その顔はすぐに驚きの色へと染まっていく。
「司・・・・・あんた一体・・・・」
「・・・・ちょっとあっちでいいか」