サヨナラなんて言わせない
気が付けば外はすっかり明るくなっていた。

「はぁ・・・さすがに2日続けて寝てないと頭が働かないな・・」

寝室からはまだ物音は聞こえてこない。
彼女が起きてくる前に軽くシャワーを浴びてしまおう。
俺はすぐに浴室へと移動すると全身にお湯を浴びて霞がかった頭を覚ましていった。

「ふぅ・・・・」

すっきりした体をガシガシと拭いていたところで突然脱衣所の扉が開いた。

「えっ・・・・」

「ん?」

互いにいるはずがないと思い込んでいた相手が目の前にいて硬直する。
しかも・・・・・・俺は素っ裸だ。
人はあまりにも頭が真っ白になると身動き一つ取れないどころか言葉すら発せなくなるらしい。俺はまずいと思いながらも固まったまま何もできずにいた。

バターーーーーーーーーン!!!!

鼓膜が破れそうなほどの音を立てて扉が閉まると、凄い勢いで彼女は自分の部屋へと戻ってしまった。
・・・また俺のせいで彼女に嫌な思いをさせてしまった。
俺は自分の間の悪さにひどく落ち込んだ。
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