サヨナラなんて言わせない
「・・・・俺、一生森さんには勝てない気がします」

「なんだぁ?俺は死ぬまで若造には負ける気はねぇぞぉ」

そう言って豪快に笑う姿すら本当にかっこいい。
この人には一生頭が上がりそうにない。

「あ、森さん!やっと会えたっす~!」

向こうのテーブルの方から岡田が嬉しそうに駆け寄ってくる。

「社長もここにいたんですね。森さん、今日この後飲みに行きましょうよ!何か予定あるんですか?」

「ねぇけど・・・お前飲むとさらにしつこいから面倒くせぇんだよなぁ~」

「あぁっ、ひどい!そんなこと言わないで行きましょうよ!南條さんのお祝いしましょう!」

「おい岡田、お前俺を口実にしてないか」

「えっ?!いやいやいやいや、そんなことないですって!」

あっはははと乾いた笑いをする岡田を冷めた目で見下ろす。

「・・・しょうがねぇなぁ。南條のめでたい日でもあるし、今夜はご馳走してやるよ」

「本当ですかっ!やったー!ありがとうございます!!もちろん社長も行きますよね?ねっ?」

「っていうかそもそも俺に選択肢はあるのか?」

「ないっす!」

「・・・・・・」

そうだよ岡田、お前はそういう奴だ。
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