サヨナラなんて言わせない



「はぁ・・・・飲み過ぎたな・・・」

スーツの上着をその辺りに放り投げてシャツも脱がずにドサッと布団にダイブする。

こんなに酒を飲んだのはいつぶりだろうか。
涼子に振られてヤケ酒に溺れて以来、付き合いでの酒以外はかなりセーブしてきた。だが今日はどうしてだか飲みたい気分だった。何かを忘れたいとかそういうことではなく、単純に仲間と楽しく酒を飲みたかった。
そんな気分になるのも数年振りで自分でも驚いている。



彼女は今頃どうしているだろうか・・・・



目を閉じると浮かんでくる彼女の笑顔。
もうその姿を何年見ていないだろうか。


会わなくなってからもう一週間が経った。
彼女が何をしているのか、
ほんの少しでも俺のことを思い出してくれる瞬間はあるのだろうか、
一日中そんなことばかり考えてしまっている。
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