サヨナラなんて言わせない
「たとえ死ぬ間際まで行ったとしても・・・・俺は信じるって決めたんだ」

「司・・・・」

カナが感極まって言葉に詰まる。悲しそうにしたり嬉しそうにしたり、相変わらず忙しい奴だ。

「いつ涼子が俺のところに来てくれるかわからないんだ。だったら一秒だって無駄にせずに頑張るしかないだろ?俺にできることはこれしかないんだから」

「司・・・なんか今のあんたかっこいいよ」

ぐすっと鼻を啜りながらカナは笑う。

「お前にかっこいいって言われると何か狙われそうだから嫌だな」

「ちょっと!どういう意味よっ?!」

バシッと背中に強烈な一発が入る。背筋がビキッと鳴った。

「いてぇっ!!お前男なんだから少しは手加減しろ!」

「キィ~~ッ!誰が男ですってぇ?!天誅!天誅!!」

「いてっ!バカ、やめろっ!!」

さらに追い打ちをかけるように殴りかかるカナから必死で逃げる。
事務所の入り口付近まで逃げたときにガチャッと扉が開いた。

「・・・・・何やってんすか、二人とも」

「岡田・・・」

いい歳した男が追いかけっこなんて気持ち悪すぎる。そんな呆れ顔で突っ立っている岡田に俺たちは苦笑いで答えることしかできなかった。
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