サヨナラなんて言わせない

「おはよう。珍しく遅かったわね・・・・って、何アンタ、その顔はっ?!」

いつもは早朝に出勤しているはずの俺が時間ギリギリに来たことだけでも驚きなのに、カナの驚きはそれ以上に俺の顔を見た瞬間別のものへと変わっていた。

「ほんとだ。社長、どうしたんですか?真っ青ですよ・・・・?」

座っていた岡田まで俺の前にやってきて二人で何事かと心配そうに見つめる。

「涼子が・・・・・」

「えっ?!」

俺の口から飛び出した涼子という言葉にカナがいち早く反応する。

「涼子が朝起きたらいなくなってて・・・・仕事のせいだと思っても、またいなくなるんじゃないかって考えたら、俺・・・・」

「ちょ、ちょっと司落ち着いて!一体何の話をしてるの?話が全く読めないわ。
順を追って話してちょうだい」

「涼子って誰ですか?」

顔色悪くぼそぼそと話し始めた俺にカナと岡田がそれぞれ違った反応を示す。

「ちょっととりあえずこっちに来なさい!岡田はまたあらためてね」

「えーー!また俺だけ仲間はずれっすか!?」

「いいから、司っ、ほら早くこっち来なさい!」

反応の鈍い俺の腕を引っ張ると、そのまま隣の応接室に押し込まれてしまった。
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