サヨナラなんて言わせない
「はぁ~~、全くどこまでもあんたらしいというか何というか・・・・。で?どうするのよ?・・・ってもう想像もつくけど」

「今日は早めに切り上げて涼子の会社で待ち伏せする。絶対に失いたくないんだ」

「そんなに心配しなくても彼女も腹を括ったと思うけど・・・まぁあんたの好きにしなさい」

「あぁ、いつもすまない。こういうこともこれで最後にするから」

「是非ともそうしてちょうだい。これからはいい報告しか受け付けないからね?」

うじうじ考え込む俺に最大級のエールを送ると、カナは部屋を出て行った。

・・・そう。カナの言うとおりだ。
涼子は考えもなしに俺を受け入れたりなんか絶対にしない。
いつだって自分の行動に責任をもってきた女性じゃないか。

散々信じると言っておきながら、ここまできて不安になってどうする。

「・・・・よし。余計なことは考えずに仕事して彼女を迎えに行く」

自分に強く言い聞かせるように独りごちると、
すぐに仕事モードに切り替えて俺も部屋を出て行った。
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