サヨナラなんて言わせない
「ち、ちょっと！イチャイチャなんてしてないから！」

「してただろう？さっき涼子に触ってたじゃないか。その後涼子は顔を真っ赤にしてるし･･･俺は頭がおかしくなりそうだったよ」

慌てて否定する涼子にすら嫉妬を覚える。
だって･･･この男とはそういう関係なのだろう？
それをわかった上で体に触れるのを見て冷静でなんていられない。
たとえそれがどんな小さなことであっても。

「司、それは誤解だか････」

「僕と涼子さんの仲なんですから大目に見てくださいよ」

これまで沈黙を守っていた男が突然俺と涼子の間に割って入った。
その目は余裕のある笑みで明らかに俺を挑発している。

「････なんだと？」

「中村君･･･？」

焦った様子で彼を仰ぎ見た涼子に優しく微笑むと、すぐに俺に視線を戻し再び俺を挑発する。

「だってほら、割り切った付き合いなんですから。これくらいは普通でしょう？」

「お前･･･」

「それに、南條さんだって似たようなことをして涼子さんを裏切ってたんじゃないんですか？」
< 274 / 373 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop