サヨナラなんて言わせない
「・・・・・え?じゃあ彼とは・・・」

男の顔を見ると彼はやれやれといった仕草で苦笑いしている。

「体の関係どころか手を繋いだことすらありませんよ」

衝撃の事実にすぐに言葉が出せない。

「・・・・・・・涼子、本当に?」

「・・・・・うん。ほんとにごめん」

涼子は相当後ろめたいのかそのまま俯いてしまった。


・・・・・・・・嘘だった・・・
全ては彼女が俺に対する不信からついた嘘。
彼とは何一つない・・・・・・・


俺の体がワナワナと震え始める。
もう自分では制御できないほどに。


やっぱり彼女に感じた直感に間違いなんてなかった。
彼女は昔と何一つ変わってなんかいない。
軽々に体を許すような女性なんかじゃない。

俺が愛して止まなかった涼子のままなのだ・・・・・!!


「涼子っ!!!!!」


ようやくそのことが脳内で処理できると、次の瞬間には彼女を腕の中にぎゅうぎゅうに閉じ込めていた。
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