サヨナラなんて言わせない
二人の夢
____......


深夜、眠れずにゆっくりと体を起こす。
隣にはすーすー気持ちよさそうな寝息を立てて愛しい女が眠っている。


あれから。

帰って来てからすぐに貪るように彼女を求めた。
朝方まで繰り返した行為を何度も、何度も。
彼女には負担が大きいとわかっていても、自分をコントロールできなかった。

あの男とは実は何でもなかった。

そのことが俺の心に火をつけた。

彼女は恨めしそうに俺を睨んでいたが、その目は俺を拒んではいなかった。
バカで情けない俺を、優しく受け入れてくれた。


・・・・そして知らされた一番の驚き。

この3年彼女は誰とも付き合いがなかったということ。

信じられなかった。
容姿も性格も文句なしの彼女ならば機会はいくらでもあったはず。

・・・・それだけ俺とのことを引き摺っていたことに責任を感じる一方で、彼女が俺以外の男を知らないのだという事実に言葉にできないほどの喜びを感じていた。

自惚れだとわかっているが、俺たちは互いでなければ駄目なのだ。
他の相手では決して満たされることはない。
俺のせいで長い遠回りをしてしまったが、辿り着く場所べき場所へようやく収まることができた。そう思える。
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