サヨナラなんて言わせない
高校に入ると俺の身体は一気に男へと変化していった。
いなくなった父親譲りなのか、180ほどの長身にも恵まれた。
それに合わせるように、これまで度々俺に手を出してきた母の男達が何もしなくなった。結局のところ、自分より弱い者で憂さ晴らしをしていたんだろう。

くだらない。
そんな俗物のような男達も、そんな男に縋って生きる母も。

俺は絶対にこんな人間にはならない。
その気持ちがいつも俺を奮い立たせていた。


校内・校外問わず、告白されることは少なくなかった。
中にはとても人気のある子もいたかもしれない。
それでも俺は全く興味が持てなかった。
所詮彼女達も母と同じ女。
いつどこで変わるかなんてわかったものじゃない。

普通ならそういうことに興味が沸いて仕方がない年頃なのだろう。
だが俺は全くと言っていいほど関心がなかった。
あれだけもてるのに一切女性に見向きもしない、しかもいつも奏多とつるんでいる。
そのことで俺はゲイなんだと噂する奴もいた。
奏多は申し訳なさそうにしていたが俺は気にもとめなかった。

相手にするだけ馬鹿馬鹿しい。
言いたい奴には言わせておけばいい。
必要な人がちゃんと理解してくれていればそれ以外はどうでもいい。

俺はうるさい外野に目をくれることもなかった。
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