サヨナラなんて言わせない

震える手で体中に触れる。

何か一つでも手がかりになるようなものはないか。

だが、それらしきものは何一つ見つからなかった。

絶望感に満たされながら最後に入れたシャツの内ポケットで何かに触れた。


カサッ・・・


「・・・・・これはなんだ?カード・・・・?」


何一つ持っていない中で唯一見つけた一枚のカード。

当然のことながらそれが何なのか全く思い出せない。

だがとても大切な、絶対に失ってはいけないものだと直感で思った。


今の自分をすくい上げるための大切な何かに違いないと。


目の前を見れば誰もいない道路があるだけ。

これからどうすればいいというのか。

寒い・・・・


ズキンズキン


頭が割れるように痛くてきちんと考えることができない。

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