サヨナラなんて言わせない
高校2年も半ばを過ぎた頃に変化が訪れる。
それは俺にとっては生まれて初めての変化だった。

委員会でよく顔を合わせるようになった女の子のことが妙に気になる。
物静かでいつも穏やかな空気を纏ったその子といると、何故だか心が落ち着く。
そんな気持ちは初めてだった。


「それが好きってことだよ」

俺の話を聞いた奏多がいとも簡単にそう言ってのけた。

「え・・・でも」

「私はいいことだと思うよ?司だって好きな子の1人や2人いていいんだよ。ずーーーーっと誰とも付き合わずに死んでいくの?それとも男に走るって言うの?」

「それは・・・」

「でしょう?司は男に興味がないんだから、もっと女の子に目を向けていいんだよ。お母さんのことで悩む気持ちはわかるけど、世の中の女が皆同じじゃないんだから。きっと司だけを見てくれる子がいるよ。それに、真中さんなら物静かでいい子だと思うし。前向きに考えてみたら?」
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