サヨナラなんて言わせない
***


「じゃあ打ち合わせはまた今度あらためてしましょ」

「そうですね。今日は楽しかった~!」

「お疲れ様でした!社長、貴重なお話楽しかったです!」

「南條さん、僕も楽しませてもらいました。ありがとうございます」


あれから盛り上がるだけ盛り上がってようやく店を出た俺たちに、相変わらず皆言いたい放題だ。もう反論する気力すらなくなった俺からは溜息しか出てこない。

「・・・・もう好きにしてくれ。・・・ただし岡田、お前だけは覚えとけよ」

俺が鋭い視線で睨み付けると岡田の体がビクッと跳ね上がる。

「え、えぇっ?!なんで俺だけなんですか!俺、社長の純愛にメチャクチャ感動したのに!それに話したのはカナさんですよっ」

「最低一ヶ月は休みがないと思え」

「ひぃっ!なんでですか!職権乱用ですよ!カナさんは?!・・ぐえっ!」

「は~い、岡田、帰るわよっ!方向が一緒だから途中まで乗せてってあげるわ」

慌てふためく岡田の後ろからチョークスリーパーを決めると、カナはそのまま岡田を引き摺って帰って行った。それから各々別れを告げ、やがてその場に俺たちだけが残された。
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