サヨナラなんて言わせない
小学校低学年の頃両親が離婚した。
原因は父親の浮気だった。

母は心身共に衰弱していて、時に入退院を繰り返すことすらあった。
そんな母に負担をかけるのが嫌で、ついていきたいとは最後まで言えなかった。
結局父親の元に残ることを選んだ自分に現れた新しい母親。
それは本当の母を追い込んだ張本人。
母親が大好きだった自分にとって、継母と上手くやっていくなんて無理だった。


だからといって何か波風を立てるつもりなんてない。

何もしない。関わらない。
そう決めたのだ。

勝手にしてくれればいい。
自分を巻き込みさえしなければそれでいい。


ちっとも懐こうとしない自分に継母はいつもイライラしていた。
でもそんなことこっちの知ったこっちゃない。
人の家庭を壊しておきながら、これ以上何をしろと言うんだ。

勝手なことは自分たちだけでやってくれ。


どんなことがあっても自分の信念だけは曲げることはしなかった。
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