サヨナラなんて言わせない
吐かれた言葉に女の体がワナワナと怒りで震え出す。

「親に向かってそんな口聞いて許されると思ってるの?」

「何が親だ!人の家庭を壊しておきながらその上その息子を襲うなんて!お前なんか最低人間のクズ野郎だ!!」

女の余りの身勝手さに、これまで我慢していた不満が一気に爆発していた。

「ゆ、許せないわ・・・・!絶対に許さない!そんなことを言ったことを一生後悔させてやるわ!!」

「勝手にしろ!二度と視界に入ってくるな!汚らわしい!」

怒りに震える女はまるで鬼のような形相で部屋を出て行った。



誰もいなくなった部屋で急に自分の体も震え始める。


・・・・・一体何が起こったんだ。


さっきまでは興奮の余りあんなことを言ったが、
冷静になると一気に現実に引き戻され、それと同時に恐怖が襲ってきた。

一体あの女はいつからそんなことを?
もし目が覚めなければどうするつもりだった?


そう考えると全身から冷や汗が出てきて、一晩中震えが止まらなかった。
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