サヨナラなんて言わせない
それから父親と継母との溝は決定的なものとなっていった。

父親は謝れと何度も言ってきたが、絶対に首を縦に振ることはしなかった。
自分は間違ったことは何一つしていない。
どんなに怒鳴られようと殴られようと、その決意は揺るがなかった。

毎日のように怒鳴られ続ける自分を見て女は満足そうに笑っていた。


『一言ごめんなさいって謝れば許してやってもいいのよ?』


ある日そう言って笑った女の顔の醜さは今でも忘れられない。


絶対に屈しない。


その強い想いが自分を支え続けていた。

どれだけ時間が経とうとも全く反応を示さないこちらに、
次第に女の方がイライラを募らせていった。

本当にバカバカしい。

一日でも早くこの家から出て行く。
日々そのことだけを考えて過ごすようになっていた。
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