サヨナラなんて言わせない
「え・・・・?何、言ってるの・・・?嫌だよ、そんなの・・・!」

由梨は声を震わせて俺にしがみつく。
女を武器に縋り付いてくるその姿が、まるで母を見ているようだった。

「もう無理だよ。お前をそういう風には見れない」

「そんなっ!だって、ほんとに違うの、司が昨日見たのはちょっと事情が・・・」

「派手な格好して男とキスをしてホテルに入るのにどんな事情があるって言うんだ?・・・・何を言われてももう無理だよ」

「・・・・っ!!」

俺の放った言葉に由梨は俯いて何も言わなくなってしまった。
握りしめた拳がブルブル震えている。
室内を冷たい沈黙が包み込んでいた。


「・・・・・から・・・」

しばらく黙り込んでいた由梨が突然俺を睨み上げて声を上げた。

「あんたがゲイだって噂があったから近付いただけだから。女もいけるのか友達と賭けてただけだからっ!じゃなきゃあんたみたいな顔だけの男相手にするわけないでしょ?あんたみたいなつまんない男こっちから願い下げよっ!!」

本性を現した由梨は逆ギレして言いたいことを吐き捨てると、凄い勢いで教室から出て行ってしまった。
俺は不思議とその光景を冷静に見つめていた。
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