サヨナラなんて言わせない

・・・・・ショックだった。


彼女の本性を見せられたからじゃない。
そんな彼女の本質を見極められなかった自分自身に失望したのだ。
あれだけ母の愚かさを嫌と言うほど目の当たりにしておきながら、
俺は何一つわかってなどいなかった。

結局好きになったのは母と同じ人種の女じゃないか。

「・・・・ははっ・・・」

自分があまりにも滑稽で笑えた。


それから、振られた腹いせに由梨はやりたい放題だった。
学校で被った清純な仮面を盾に、やれ浮気をしたのは俺の方だの、あいつは男でもいけるだの、俺が何も反論しないのをいいことに嘘をばらまいていった。

奏多は黙って見過ごすなんてできないと憤っていたが、俺は何もするつもりはなかった。もう何一つ関わり合いをもちたくない。ただその思いだけだった。
好き勝手やって気が済むならそうすればいい。

それが見る目のなかった俺自身への罰なのだから。


そうして俺に対する好奇の目は卒業するまで続いた。
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