サヨナラなんて言わせない
それからというもの、俺と彼女の距離はどんどん縮まっていった。
季節を2つほど越える頃にはいつの間にか「南條先輩から司先輩」に、
「三国から涼子」へと、互いの呼び方も変化していった。
彼女と穏やかな時間を過ごす中で、自分の気持ちも確実なものへとなっていく。

俺は涼子が好きなんだと。

由梨の時には感じなかったこの内側から溢れてくるような情熱。
彼女が欲しい、彼女に自分だけを見て欲しい、いつからか息が出来ないほどそんな想いでいっぱいになっていた。




「奏多、俺好きな子がいるんだ。どうしてもその子が欲しい」

「え?」

別の大学に通っているため久しぶりに会った奏多は、突然の俺の告白に驚いていた。
当然だろう。あの一件以来俺は異性関係を一切合切遮断していたのだから。
そんな俺が自分から欲しいだなんて、信じられなくて当然だ。

「・・・・どんな子?・・・・・その、大丈夫なの・・・?」

奏多は心配そうに呟く。

「太陽みたいな子だよ。俺には眩しすぎて直視できないくらいいい子なんだ。あの子なら絶対に大丈夫だって信じてる。万が一前みたいなことがあったら・・・・いや、絶対にないな。いくらたとえ話でもそんなことを言ったらあの子に申し訳ない」
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