サヨナラなんて言わせない
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ポカーンと口を開けたまま固まっている。ある意味予想通りで笑いそうだ。

「・・・・・・・・・涼子、聞いてる?」

手のひらを目の前でパタパタ動かすとようやく魂が戻って来たようでハッとした。

「え、え?えっ?!司先輩、今なんて・・・?」

「涼子が好きだ。付き合って欲しい」

涼子の言うことが予想できていた俺は即答した。

「・・・・あ、あの・・・・どこかの同姓同名の人と間違えてませんか・・?」

「え?!・・・・・・・・・・ぷ、くくっ・・・・あはははははははははっ!」

至極真面目な顔で何を言い出すかと思ったら。とうとう我慢できずに俺は吹き出してしまった。涼子はそんな俺を相変わらずポカンとした顔で見ている。
・・・・全く、だからたまらなく君が好きなんだ。
ひとしきり笑うと俺は目尻の涙を拭ってあらためて涼子に向き合った。

「俺が好きなのは今目の前にいる三国涼子さん、あなたです」

「え・・・でもどうして司先輩みたいな素敵な人が私なんかを・・・・?」

「なんかじゃないよ。君は自分の魅力を何もわかってない。明るくて、優しくて、すれてなくて、時々ちょっとボケてて・・・そんな君だから好きになったんだ」
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