サヨナラなんて言わせない
一瞬だけ彼女と目が合った気がする。
その時の彼女の驚愕に満ちた顔が自分を後押しした。
やはり彼女には何かがある。
自分がここにいることにも何か関係があるのではないか。
割れそうだった頭痛もどこかへいってしまっていた。
頭の中は今目の前に迫っている女性のことだけでいっぱいになっていた。
一瞬だけスピードを緩めた足が一気に横を駆け抜けようとするのがわかった。
絶対に彼女を失ってはならない。
ガシッ!!
「ひぃっ!!」
考えるよりも先に体が動いていた。