サヨナラなんて言わせない
「涼子っ!!!ありがとう!!!!」

「きゃっ?!せ、せんぱいっ??!!!」

俺は嬉しさの余り彼女を思いっきり抱きしめた。突然のことに彼女は棒のように硬直しているが、今の俺にそんなことは頭に入りっこない。
初めて触れた彼女は想像していたよりも小さくて、柔らかくて・・・温かかった。
しばらくその感触に酔いしれると、彼女の肩を掴んでそっと体を離した。見れば彼女の顔があり得ないくらい真っ赤に染まっていて、心なしか震えているようにも見えた。俺はその時初めて自分がしでかしたことに気が付いた。

「っごめん!涼子、俺思わず・・・・・・・怒ってる?」

慌てて謝る俺に彼女は真っ赤な顔をブンブンと横に振る。

「ち、違うんです!びっくりして・・・・私、こういうの初めてだから・・・・」

「えっ?!」

初めて・・・・?
嘘だろう?!彼女が?こんなにいい子が?
・・・・・信じられない。

「初めてって・・・・誰とも付き合ったことないの?」

「・・・・・はい・・・。やっぱりおかしいですか?この歳までいないって・・・」

「そんなことない!ただ、君みたいにいい子が今までいないなんて信じられなくて・・・・」
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