サヨナラなんて言わせない
「今まではどうしてもそういう気になれなくて・・・。でも、先輩となら・・・って初めて思えたんです」

「涼子・・・・・・・ありがとう。凄く嬉しいよ」

「初心者の私ですけど・・・よろしくお願いします」

ペコッと頭を下げる姿に胸を鷲掴みにされる。

「大丈夫。俺もほとんど初心者みたいなものだから。俺たちらしくゆっくりのペースで進んでいこう?」

「・・・はい!」

そう言って君は太陽のように眩しい笑顔を見せた。



こうして俺たちの付き合いはスタートした。



後日俺は奏多のバイト先を尋ね、上手くいったことを報告した。
普段はあいつが俺に抱きついてくるだけだったが、この日ばかりは俺の方から先に抱きついてしまった。俺のあまりの喜びっぷりに、奏多も若干引いていたくらいだ。
それくらい嬉しかったんだ。

生まれて初めて自分から手に入れたいと思った人が振り向いてくれて、
おまけに自分以外に付き合ったことがないという。
これで喜ばない男がいたら教えて欲しいくらいだ。
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