サヨナラなんて言わせない
パチッと目を開くと心配そうに自分を見つめる瞳と視線がぶつかった。


・・・・・・涼子、やっと君に会えた。

ずっとずっと、君にまた会う日のことだけを考えてきた。


「あ、大丈夫?どっか変なところない?」

本当に心配してくれているのが伝わって心が締め付けられる。

・・・・涼子、君は昔と何一つ変わっていない。
こんな俺を受け入れて、こんな俺を心配してくれる。

俺が愛して止まない君と・・・何一つ。


俺は一瞬迷った。
今この瞬間に記憶が戻った事を打ち明けるべきかを。
本当ならばすぐに話すべきなのだろう。

・・・・だが、もう少し。もう少しだけ。
今日だけでも一緒に過ごしたい。
考えたくはないが、彼女が俺を受け入れてくれなければ、
こうして一緒に過ごすことも最後になってしまうかもしれない。

・・・・・今の涼子をもう少しだけ見ていたい。


「・・・・大丈夫です。・・・涼子さんこそどこも打ってませんか?」


俺は考えるよりも先にそう答えていた。


あと少しだけ、君の傍にいることを許して欲しい。

今夜、

今夜君に全てを話すから。

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