サヨナラなんて言わせない
涼子はここでもやはり俺を何度も気遣ってくれた。
気を使わせて逆に申し訳ないとは思ったが、俺は彼女の傍を離れなかった。

3年前よりぐっと綺麗になった彼女。
もともと綺麗な女性だったが、会わない3年間の間に更に洗練されたように思う。
何が彼女をそうさせているのか、考える度にあの青年の姿が脳裏をよぎる。

彼女はこの3年をどう過ごしてきたのだろうか。
これだけ魅力的な女性なのだ。
きっと恋人だっていたに違いない。


･････苦しい。
俺に何一つ言う権利も資格もないことはわかっている。
全ては自分の過ちが招いた結果だということも嫌というほど理解している。
それでも、彼女が他の誰かのものになったことを想像するだけで息が出来ないほど苦しくてたまらない。



････だからこそ、こうして昔と変わらない彼女を見る度に心が癒やされていく。
自分が愛して止まない、共に時間を過ごした彼女が目の前にいると思うだけで、ささくれ立った心が落ち着いていく。
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