サヨナラなんて言わせない
「それって・・・・・・」

「いわゆる大人の付き合いってやつ?私恋人とかいらないし。こういうのが一番楽なの」

ははっと笑ってグラスを口につけながら何でもないことのように彼女は言った。


大人の付き合い・・・?
恋人じゃない・・・・・?
楽・・・・?

・・・・嘘だ。
彼女に限ってそんなことは絶対にあり得ない。
そういうことができるような人ではないということは俺が一番よくわかっている。

・・・だが彼女から最も遠い場所にあったはずのことをこともなげに話している。


これが3年という時間の重みなのか・・・?

俺は唇を噛みしめて震える拳をグッと握りしめた。

「そんな・・・・そんなことはやめてください!」

突然声を張り上げた俺に彼女は口にしていたグラスを止めて俺を凝視した。

「涼子さんにはそんなこと・・・駄目です!絶対に。もっと、・・・・・もっと自分を大切にしてあげてください・・」

「な、何言ってるの?私が何をしようとあんたに関係ないじゃない!」

不躾なことを言われて怒っているようにも見えた。だが言わずにはいられなかった。

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