サヨナラなんて言わせない
俺にこんなことを言う資格なんてない。
そんなことはわかってるんだ。
だけど君にだけはそんなことはしてほしくない。
あんなに純粋で、真っ直ぐで、誰よりも綺麗な心を持っている君に、
そんな自分を安売りするような真似をしてほしくない。

こんなことなら恋人がいると言われた方がよっぽどマシだ。

「・・・・そうかもしれません。でもやっぱり駄目です!そんな悲しいことしないでください。涼子さんにはそんなことしてほしくな・・・・」


バンッ!!!


俺の言葉を遮るように彼女が激しくテーブルを叩きつける。
その揺れでグラスの中の氷がカランと音をたてたのがやけに響いた。

「・・・・ふざけないでよ」

「え?」

「ふざけないでよっ!あんたに私の何がわかるって言うの?私の何を知ってるって言うのよ!何も知りもしないくせに綺麗事ばっかり言わないで!!」

荷物を手に取り鞄の中からお金を出してテーブルに叩きつけると、彼女は瞳に涙を溜めて俺を睨み付けた。

「それに・・・・散々女遊びしてた最低野郎のあんたにだけは言われたくないっ!!!」

「涼子さんっ!!」
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