サヨナラなんて言わせない
「この前中野の交差点付近で涼子を見かけたよ」
「えっ、いつ?」
「木曜の昼過ぎだったかな。男性と一緒だった」
週末、俺の部屋に来て夕食の準備をしている涼子にそれとなく話を出してみた。
彼女はう~んとしばらく考えた後にあぁ!と笑った。
「あ~、あの日か!あれは田口主任と勉強も兼ねて打ち合わせに一緒に行かせてもらったんだよね。
なんだ、司見てたの?なんだか恥ずかしいな~」
ほんのり頬を染めて照れくさそうに笑う。
ほらな。
何てことのない日常風景に過ぎない。
俺だって女性と一緒に仕事をすることはあるじゃないか。
いちいち気にしてたって馬鹿馬鹿しい。
それなのに、あの日から俺の心に渦巻くこの言いようのない不安は一体何なんだ。
別に涼子があの男性とどうにかなるなんて疑ってもいない。
それでも、学生の頃と違って、自分の知らないところで彼女が頑張ってる。
そしてそれを自分以外の誰かが間近で見守っている。
そんなことを考え始めたら表現できない焦りが襲ってくるのだ。
彼女が俺の手から離れてしまう日が来るんじゃないかと。
「えっ、いつ?」
「木曜の昼過ぎだったかな。男性と一緒だった」
週末、俺の部屋に来て夕食の準備をしている涼子にそれとなく話を出してみた。
彼女はう~んとしばらく考えた後にあぁ!と笑った。
「あ~、あの日か!あれは田口主任と勉強も兼ねて打ち合わせに一緒に行かせてもらったんだよね。
なんだ、司見てたの?なんだか恥ずかしいな~」
ほんのり頬を染めて照れくさそうに笑う。
ほらな。
何てことのない日常風景に過ぎない。
俺だって女性と一緒に仕事をすることはあるじゃないか。
いちいち気にしてたって馬鹿馬鹿しい。
それなのに、あの日から俺の心に渦巻くこの言いようのない不安は一体何なんだ。
別に涼子があの男性とどうにかなるなんて疑ってもいない。
それでも、学生の頃と違って、自分の知らないところで彼女が頑張ってる。
そしてそれを自分以外の誰かが間近で見守っている。
そんなことを考え始めたら表現できない焦りが襲ってくるのだ。
彼女が俺の手から離れてしまう日が来るんじゃないかと。