サヨナラなんて言わせない
顔色が良くなかった。
やはりあのまま体が芯から冷えきってしまったに違いない。

俺のせいだ・・・・

何故調子にのってあんなことを言ってしまったのか。
彼女との距離が近付いたような錯覚に陥ってあんなことを・・・


だが今そんなことを考えたところで現状が変わるわけではない。
まずは彼女の体調を第一に考えなければ。

経験上、ああいう顔色をしている涼子は十中八九やがて発熱する。
そういうことが何度もあった。
本人に自覚はないようだったが、彼女が体調を崩すパターンは決まっていた。
おそらく俺の方が彼女のことについては理解しているだろう。

キッチンへ戻ると鍋に火をかけホットミルクを作る。
体調が優れないときはいつもこうして飲ませていた。
次第に温まってきた鍋を見てあの頃の思い出が蘇ってくる。


幸せだった思い出


俺が、壊した・・・・・


また気持ちが滅入りそうになったところで涼子の姿が目に入った。
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