サヨナラなんて言わせない
それから俺は涼子に再会してからの出来事を大まかに説明していった。

記憶はなくとも本能で彼女に助けを求めたこと、
はじめは激しく拒絶されたが最終的に受け入れてくれたこと、
似たような状況で記憶が戻ったがまだそれを伝えていないこと、
・・・そして俺が彼女を怒らせてしまったこと。
そのせいで今彼女と話をすることすらままならないことも。

もちろん彼女の個人的なことは一切話していない。


ずっと黙って経緯を聞いていたカナの顔が徐々に難しくなってくる。

「・・・それじゃあまだ涼子さんに何一つ話もできてないってこと?」

「・・・あぁ」

その答えにカナは呆れたように溜息をついた。

「バカだね。昨日記憶が戻ったんならどうしてその時にちゃんと言わないの?ただでさえ彼女にとっては信じられないような話をされるっていうのに、さらに嘘を積み重ねてどうするのよ?!」

「・・・・すまない」
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